何らかの事情から刑事事件の被疑者になってしまうと、逮捕・起訴さらには有罪判決へとつながり、社会生活上、大きな不利益を受けるリスクが生まれます。したがって、早急に対策を講じる必要があります。その対策のひとつが「自首」です。自首は不起訴や刑の減軽、執行猶予判決など複数のメリットにつながります。しかし、「自首する勇気がでない」という方は珍しくありません。こういった場合は、弁護士へ自首への付き添いを依頼することも可能です。ここでは、自首した後の流れやメリットなどを紹介します。
自首とは、「捜査機関が刑事事件の犯人を特定できていない段階で、被疑者自らが自分の犯罪事実を申告すること」です。詳しくは、刑法42条1項に規定されています。
“第42条 (自首等)
1.罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2.告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。”
このように自首は刑の減軽につながることから、できるだけ早い段階で自首することが求められます。ちなみに、自首とよく混同される言葉に「出頭」があります。出頭は「捜査機関が刑事事件の犯人を把握しているものの、居場所を特定できていないときに犯人が自主的に出向くこと」です。つまり、自首と出頭には「捜査機関が犯人を特定できているかどうか」という点で違いがあります。
自首は加害者本人が自分で捜査機関へ出向く以外にも、次のようなケースで成立するとされています。
ただし、「加害者自身の意思ではない申告」は自首とはみなされません。例えば、捜査機関から取調べを受けた段階で「本当は自分がやった」と自白することは、自首とみなされない可能性が高いでしょう。あくまでも、「捜査機関が犯人を特定できていない段階」で、「自らの意思」によって申告しなければいけません。
警察に自首したあとは、任意での取調べが始まります。その後、逮捕状を請求されて逮捕される、あるいは緊急逮捕される可能性もありますが、事案の内容によっては、在宅で捜査が継続される場合もあります。
一般的に、自首には次のようなメリットがあるとされています。
刑事事件で逮捕されると、起訴前は最大20日間、起訴後は数か月に及ぶ勾留(身柄拘束)の可能性がでてきます。逮捕・勾留は「証拠隠滅や逃亡の可能性」に対して行われるものであるため、自首によって捜査に協力する姿勢を見せれば、在宅で捜査が行われる可能性がその分高まり、逮捕・勾留のリスクを回避しやすくなるでしょう。
上で紹介した刑法42条の内容からもわかるとおり、自首は刑の減軽の根拠になり得ます。
不起訴や執行猶予判決など、実際に刑罰をうけなくて済む結果につながる可能性が高まります。
ただしこれらは、あくまでも「可能性」であって、100%発生するものではありません。しかし検察官や裁判官の心証を良くする効果はあることから、できるだけ早めの自首が望まれることに変わりはないでしょう。
可能です。一般的に弁護士へ自首の付き添いを依頼すると、まず弁護士が弁護人に就任することを前提に警察に自首する旨を連絡します。その後、「自首報告書」の作成や自首後の流れなどの説明・サポートが受けられます。また、警察に対しても不要な逮捕や長期勾留がないよう働きかけ、不起訴や執行猶予判決を見越した対応なども可能です。
弁護士は自首によるメリットを最大化し、「自首する勇気がない」という方の不安に寄り添いながら社会復帰に向けたサポートを提供できるわけです。もし「犯罪に関与してしまった」「加害者かもしれない」などの不安を感じているのなら、まずは自首の付き添いを含めて弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。