【速報】 持続化給付金詐欺 の判決まとめ 20210429 |福岡の刑事事件相談、水野FUKUOKA法律事務所

福岡の刑事事件に強い弁護士

初回相談無料 092-519-9897 24時間、即時無料相談対応
メールでのお問い合わせはこちら

【速報】 持続化給付金詐欺 の判決まとめ 20210429

事務所公式HP

友だち追加

はじめに

持続化給付金の不正受給を巡る詐欺罪について、公判請求され、判決が相次いで言い渡されている。そこで、本稿では、令和3年4月28日までの報道記事や判例データベースをもとに、持続化給付金不正受給に関する裁判例の傾向を検討することにした。

報道発表から読み取れる範囲で一覧表を作成しており、役割や被害弁償、分け前などについては一部、推測に渡るものも含まれている。また、本稿掲載時点で検察官による求刑まで行われ、判決言渡未了のものについても参考のために掲載した。
ちなみに、これらの判決の中で、当職が弁護人などとして関与しているものは存在しない。

一覧表はこちら

判決内容

執行猶予付判決が13件、実刑判決が1件であった。
これだけを見ると、多くの事件で執行猶予が選択されているようにも思われる。しかしながら、現在、判決が出ている者の多くは、ほとんど単独犯に近い者、自分と家族名義などで小規模に不正受給を行った者、組織の中では末端に属する者などが中心であり、詐欺グループの中核者や首謀者に関する事例は含まれていない。首謀者的地位にある者は、起訴される件数も多いため、現時点では公判が進行中であり、判決はこれから、という事案が多いのではないかとも思われる。

他方で、後記の通り年齢が若いことや、前科前歴のない者も多いこと、一部であれ被害弁償を行っている事案も散見されることなどから見ると、量刑としては総じて重い印象を受ける。
執行猶予になった事例を分析すると、最も軽いもので懲役1年6月執行猶予3年、最も重いもので懲役2年6月執行猶予5年であり、懲役2年としたものはなかった。懲役1年6月執行猶予付となった事例は、全件が被害額100万円、すなわち1件のみ起訴されていると思われる事例であり、単独犯の事例や、他人に勧誘されて不正受給を行い、手数料を支払った事例であると思われる。被害額が少なく、また共犯事件では、共犯者に比較して従属的な立場にあることが、刑を軽くした事情なのではないかと思われる。

これに対して、懲役2年6月とされた事案は、1件を除き、全て被害額が200万円~300万円とされており、自ら申請するだけでなく、他人を勧誘するなどしている事案である。被害額100万円とされた事例は、現職の行政書士によるものであり、専門知識を悪用した点が重く見られた可能性がある。

実刑とされた事例は、被害額300万円であるが、被害弁償の状況などは不明である。20歳という年齢から見て、前科があるとは考えにくいため、全く被害弁償をしていなかったという可能性もある。

これらをまとめると、現時点では、単独犯や他人から勧誘されて自ら不正受給をした者については、懲役1年6月執行猶予3年程度、他人を勧誘するなどして、合計2-3件の不正受給をした者については、懲役2年6月執行猶予4年程度の量刑がなされることが多いものと、一応、分析できる。
但し、既に述べたように、これから先は、起訴される事件の件数が多い者、詐欺グループの中核者に当たる者に関する判決が出てくる可能性があるため、量刑の傾向が重くなるものと思われる。また、現時点でも、被害額300-400万円で検察官が懲役3年6月、すなわち実刑相当の求刑をしている事例があり、これに対する裁判所の判断が注目される。

年齢・職業

20代が12人、30代が5人、40代が1人であり、平均は27.7歳と、若年者が圧倒的に多かった。高齢者は自営業者に仕立てにくいこと、持続化給付金はオンラインで申請するのが原則であること、申請名義人の勧誘にはSNSが用いられることなどから、高齢者には縁遠い類型なのではないかと思われる。

また、無職者は少数派であり、大学生、会社員を始め、公務員や行政書士など、様々な職業の者が含まれていた。不正受給には確定申告などに関する一定の知識が必要であるため、このような結果になったのではないかと思われる。

まとめ

このように、持続化給付金の不正受給は、若年者であって、大学生や定職に就いている者というように、本来であれば犯罪とは無縁の生活を送っている者が多数、関与していることに大きな特徴がある。しかしながら、その量刑は、最も軽いものでも懲役1年6月執行猶予3年であり、これは初犯の覚醒剤の自己使用などと同程度であるから、決して軽いものではない。また、前科前歴がないと思われる事案でも、実刑が求刑されているものもあり、被害額や共犯者間での役割によっては、初犯でも実刑となる可能性が十分あり得る事案であると考えられるところである。

従って、公判において最大限、有利な判決を得るには、早期に弁護士に相談して、弁護人による適切な弁護活動が行われることが極めて重要であり、事案の性質上、実刑判決が見込まれる場合には特にこのことが当てはまる。
また、本稿では分析できていないものの、被告人が公判のどの時点で保釈されるかといった、身体拘束関係についても、やはりきちんとした弁護活動を行う必要性が高いのではないかと思われる。
事務所公式HP

友だち追加

その他のコラム

【速報】 経産省官僚による給付金不正受給の判決について

はじめに 経済産業省のエリート若手官僚2名が、新型コロナウイルスの給付金である、家賃支援給付金及び持続化給付金合計約1,550万円を不正に受給したとされる詐欺事件の判決公判が、本日(令和3年12月21日)に開かれた。 東京地裁(浅香竜太裁判官)は、被告人Sに懲役2年6月の実刑判決を、被告人Aに懲役2年執行猶予4年の判決を言い渡した。 こちらの記事などで報道されている。 本稿では、報道発表されている内容を踏ま...

仙台弁護士会横領事件 弁護士会で横領が発生するメカニズムを考える【明日は我が身】

  仙台弁護士会において、事務職員が会の経費約5000万円を横領したとして起訴され、内3500万円の横領が認定されて、懲役4年6ヶ月の実刑判決を受けるという事件が発生した。   https://news.yahoo.co.jp/articles/29cf18ffc8b7976374f9a06695aa9f728e80c436   約3500万円横領 仙台弁護士会元...

控訴取り下げ続報

先日投稿した、上訴権放棄・上訴の取下げという記事に関して続報である。報道によれば、大阪高裁は令和2年11月26日に、被告人による二度目の控訴取り下げを有効であると判断し、控訴審の手続を行わないと決定した。これに対して、弁護人が同年11月30日に異議申立を行ったとのことである。 異議申立の結果によっては、弁護人若しくは検察官が最高裁に特別抗告することも考えられ、本件の経過は見逃せない。一部報道によると、被告人は二度目の控訴...

「共同親権導入の結論ありきで議論を進めないでください」賛同人となりました

水野FUKUOKA法律事務所 離婚特設ページ 共同親権導入は「拙速」 弁護士ら法務省に申し入れ 法制審議会(法相の諮問機関)の家族法制部会で、離婚後の子どもの養育に関し父母双方の「共同親権」導入が検討されていることを巡り、各地の弁護士らが21日、導入は拙速だとする申し入れ書を法務省に提出した。その後、東京都内で記者会見し、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待のケースにどう対応するか話し合われないまま議論が進んでいる...

最判令和7年2月17日裁時1858号18頁 特別交付税の額の決定の取消訴訟が法律上の争訟にあたるとされた事例

事案の概要 本件は、地方交付税法15条2項の規定による特別交付税の額の決定に対する取消訴訟は、「法律上の争訟」に該当するとしてこれを適法であるとした事例である。 本件訴訟の背景として、国は、いわゆる「ふるさと納税」の返礼品が多額になるなど競争が過熱している現状に鑑みて、ふるさと納税の納付額が多い自治体の特別交付税を減額するという措置を執った。これに対してX(泉佐野市)が、取消を求めて出訴したものである。 第一審(...

刑事事件はスピードが命!
365日24時間即時対応

24時間即時無料相談対応 092-519-9897 弁護士が直接対応 六本松駅から好アクセス

メールでのお問い合わせはこちら