続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ3 不可解な地域差 20210703 |福岡の刑事事件相談、水野FUKUOKA法律事務所

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続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ3 不可解な地域差 20210703

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はじめに

一般の方や、全国で持続化給付金不正受給の弁護人をされる先生方の参考になるよう、持続化給付金の判決について、分析を続けているところ、前回の記事から、さらにいくつかの判決に関する情報を入手した。
これまでの過去記事は以下をご覧いただきたい。
続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ2 20210616
【速報】 持続化給付金詐欺 の判決まとめ 20210429
前回から約半月であるものの、これまでの傾向とは異なり、実刑となった判決を複数入手したので、今回は時間が余り空いていないことを踏まえつつも、さらに分析を行うことにした。
報道発表から読み取れる範囲で一覧表を作成しており、役割や被害弁償、分け前などについては一部、推測に渡るものも含まれている。また、本稿掲載時点で検察官による求刑まで行われ、判決言渡未了のものについても参考のために掲載した。
ちなみに、これらの判決の中で、当職が弁護人などとして関与しているものは存在しない。

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判決内容

前回からさらに増加し、執行猶予付判決が24件、実刑判決が7件となった。
もっとも、判決25~27は同じ事件として審理されたもの(但し、共犯者が共通なだけで、被告人同士に共謀関係はない)、判決28は判決25の控訴審、判決30、31は共犯者同士であるので、取り立てて判決の傾向が重くなったというわけではない。もっとも、後に述べるように不思議な傾向が見受けられる。
実刑判決が増えてきたので、一覧表を見やすくするために、実刑判決については黄色で網掛けを施すこととした。

判決の分析

判決24は、検察官の実刑求刑(3年6月)に対して、執行猶予としたものである。もっとも、事件の件数や共犯者間での役割などは不明である。検察官の求刑から見て、3件程度で、関与の度合いが少なかったのではないかと推測される。
判決25~27は、被告人同士が共謀したものではなく、共犯者が共通であったことから同一の手続で審理された事件であり、被告人らはそれぞれ申請役で、事件自体はそれぞれ1件ずつしか起訴されていない。しかも、全員が全額を返還している。にもかかわらず、全員とも実刑判決になっているという興味深い事例である。判決27の被告人は、同種前科(恐らく振り込め詐欺などの出し子ではないかと思われる)で執行猶予中であったためやむを得ない部分があるものの、判決25及び判決26の被告人は、犯行時点では前科前歴がなかったため、これまでの傾向に照らして考えると、重すぎるような印象を受ける。判決25の控訴審である判決28は、原判決が全額返還の事実を適切に考慮していないとして量刑不当で破棄自判したものの、実刑判決としたこと自体は妥当であるとするので、やはり重すぎるように思われる。
判決30及び判決31は、被害額が900万円すなわち持続化給付金9件分と、件数としてはこれまでの中で最多であり、被告人らはいずれも主犯格とされている。こちらも、全額返済したものの、それぞれ懲役3年、懲役1年10月の実刑判決となっている。
不思議なのは、本データベースに掲載されている実刑判決は、全て仙台または盛岡地裁が第1審となったものであり、東日本大震災の被災地と重なることである。当職は、その背景として、東日本大震災後の震災復興に関連する補助金詐欺の経験などから、検察官が他よりも重い求刑をする傾向にあり、裁判所もそれに引っ張られる形で宣告刑が重くなっているのではないかとの推測を行っている。これについては、今後の裁判例の集積を待つこととしたい。

年齢・職業

20代が19人、30代が8人、40代が2人、60代が1人であり、平均は29.4歳と、依然として若年者が圧倒的に多く、平均年齢も低い傾向にある。前回も述べたように、69歳の事案が1件存在し、これが全体を押し上げている。同事案を除外すれば平均は28.1歳となり、やはり前回とほぼ同水準である。

今後の見通し

まず、仙台地裁及び盛岡地裁の判決が、他と比べて本当に重い傾向にあるのか、その原因が何かを分析する必要がある。これについては、やはり裁判例の集積を待つことになると思われる。
その上で気になるのが、今後、仙台及び盛岡の傾向が、全国に波及しないかという点である。これまでは、初犯で申請役1件のみ、全額返済であれば懲役1年6月執行猶予3年程度の判決が言い渡されていたのが、原則として実刑ということになるのであれば、捜査段階を含めて弁護方針が全く異なってくる。しかしながら、個人的には、そのような量刑傾向とすることは、不必要な否認の主張を誘発する危険性や、被告人自身に資力がない場合に、開き直って返還をしなくなる危険性などがある(これまでの量刑傾向であれば、執行猶予判決を得るために、親族の支援を受けて返還するなどのインセンティブが期待できた)ように思われ、やはり今後の展開は慎重に注視する必要があるといえよう。

まとめ

前回も記載したとおり、持続化給付金不正受給は、初犯でも実刑の可能性がありうる事件類型である。
今回、犯行当時に前科前歴がなく、1件のみの起訴で不正受給した分を全額返金していても、実刑判決となる判決が存在することが発見されたことで、早期に、具体的には捜査機関に発覚する前の段階で、弁護人に依頼することの重要性はさらに増大したと考えられる。また、今後の量刑傾向が徐々に重くなっていく可能性も想定されるため、後半の進行を含めて、より戦略的な弁護活動が必要となってくるように思われる。

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