B型肝炎訴訟熊本弁護団における横領事件について現時点で分かっていることをまとめてみた(2024/1/16 19:30更新) |福岡の刑事事件相談、水野FUKUOKA法律事務所

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B型肝炎訴訟熊本弁護団における横領事件について現時点で分かっていることをまとめてみた(2024/1/16 19:30更新)

本件が注目されるようになった経緯

1 令和6年1月12日、熊本県民テレビが、「全国B型肝炎訴訟熊本弁護団の預かり金から多額の使途不明金が見つかっている」と報じる。
2 同日午後4時半頃、熊本県弁護士会長、全国B型肝炎訴訟熊本弁護団の現団長である(村山雅則弁護士・熊本県弁護士会)らが、弁護士会館にて記者会見を行う。
3 記者会見では、全国B型肝炎訴訟熊本弁護団の元団長であるU弁護士が、約1億4千万円の使途不明金を発生させ、うち9千万円を私的に流用したことを認めたこと、県弁護士会が懲戒処分のための調査を開始したものの、U弁護士は退会届を提出済であることなどが発表された(1/12 熊本日日新聞)。
4 同日付で、弁護士会がU弁護士について懲戒手続を開始したことを発表する会長談話がリリースされた。

事実経過

1 平成23年5月14日、B型肝炎訴訟熊本弁護団が結成される。弁護団長はU弁護士、事務局次長(但し、事務局長であるという出典不明の指摘がある)はT弁護士であった(U弁護士の過去ブログ)。
2 U弁護士とT弁護士は同じA事務所の弁護士である。A事務所はU弁護士とT弁護士のみで構成される(事務所ウェブサイト)。
3 U弁護士とT弁護士は夫婦であるという情報がある(出典不明)。
4 U弁護士、T弁護士はいずれも県弁副会長を務めたことがある(事務所ウェブサイト)。
5 T弁護士は、現在、日弁連の理事をしている(日弁連ウェブサイト)
6 U弁護士は、水俣病や薬害エイズなどのいわゆる人権系弁護団活動を多数歴任しており(事務所ウェブサイト)、T弁護士も日弁連男女共同参画推進本部委員などの活動を行っている(日弁連ウェブサイト)
7 A事務所が入っている建物は、平成28年2月に新築されており、同年4月に熊本地震が発生した。
8 弁護団活動に伴う預かり金は、表向きはT弁護士が会計担当者であったものの、実際にはU弁護士が単独で管理をしていた。弁護団結成以来、一度も会計報告や監査がされていなかった(1/13読売新聞)。
9 U弁護士は、平成28年頃から令和4年6月5日まで、自身が管理する弁護団代表名義の銀行口座から多数回にわたって出金し、約1億4156万円の使途不明金を発生させた(各報道)。
10 U弁護士は、弁護団の聴取に対し、使途を記録しておらず、明確な説明ができないとしつつも、約9千万円を私的に流用したこと、事務所経費や自宅の住宅ローン、熊本地震による自宅の被害の復旧費用に使ったことを認めた(各報道)。
11 数年前に、弁護団の内部で、「メンバーの弁護士への報酬が少ないのではないか」という声が噴出した。(1/13 熊本日日新聞)
12 1年以上支払が滞ったこともあり(1/13 熊本日日新聞)、令和4年6月以降報酬が支払われなくなった(1/13 読売新聞)。
13 U弁護士は、報酬の遅配について、「忙しい」と一蹴した。その後も、他の弁護団員は深く追及できなかった(1/13 熊本日日新聞)。
14 令和5年3月、B型肝炎訴訟九州弁護団が、熊本弁護団からの活動負担金の送金が和解件数に比べて少ないことを指摘した(1/12 熊本日日新聞)。
15 熊本のメンバーがU弁護士に通帳の提出を再三要請し、同年7月になって口座に残金がほぼないことが発覚した(1/12 熊本日日新聞)。
16 U弁護士は、令和5年11月に弁護団長を辞任した(1/13 読売新聞)。
17 令和5年12月、弁護団が弁護士会へ情報提供を行った(1/12 熊本日日新聞)。
18 弁護士会は、会立件により令和6年1月11日に懲戒手続を開始したものの、その直前にU弁護士は退会届を提出した。弁護士会の説得には応じなかった(1/12 熊本日日新聞)。
19 弁護団の説明では、依頼者であるB型肝炎訴訟原告本人に対する送金は行われており、依頼者に損害は発生していないとのこと(1/12 熊本日日新聞)。

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