大麻取締法では、大麻草及びその製品が規制の対象となっています。もっとも、成熟した茎や種子については規制の対象外となっています。大麻草の茎は麻繊維として衣服の原料となっており、大麻の種子については七味唐辛子の薬味に使用されるなどしています。
大麻は、葉を若芽や花穂などと共に乾燥させた状態で使用することが多く、これを一般に乾燥大麻と呼んでいます。また大麻草の若芽や花穂から分泌される樹液を集めて固めたものを大麻樹脂といい、乾燥大麻よりも高値で取引されています。
大麻については、覚醒剤と異なり、所持は処罰の対象となっているものの、自己使用については処罰する規定がありません。これは、我が国では適法に大麻草を栽培している人が一定数いるところ、そのような人たちに大麻の検査をした場合に陽性反応が出てしまうからだと言われています。このため、大麻の事案は、所持している現場を押さえる類型が多数です。
大麻所持については、法定刑は5年以下の懲役刑と定められています。覚醒剤よりも法定刑は軽いですが、入手経路などについて証拠隠滅の可能性があるとして、逮捕・勾留されることが通例です。もっとも、定期試験を控えた大学生について、勾留に対する準抗告が認められて釈放された事例などもあるため、身体拘束からの解放については積極的に取り組む必要があるといえます。
初犯の場合、起訴後に保釈の請求を行うことによって、保釈が認められる可能性は高い類型であるといえます。その際は、100~150万円程度の保釈金の納付を求められることが一般的です。
大麻剤取締法違反の場合、他の薬物同様、よほどのことがない限り、犯罪の嫌疑が十分であれば、公判請求されることが通常です。公判になった場合、前科前歴がなければ、執行猶予付の判決となる可能性が高いといえます。大麻の事案の多くは若年で前科前歴などが特にない方々であるため、刑が軽い傾向には、こうした事情も関与しているものと考えられます。
覚醒剤と異なり、大麻については、栽培での摘発事例がしばしばみられます。大麻の種自体は適法に取引されていますが、これを自分で栽培することは大麻取締法違反となります。大麻の栽培については、法定刑は7年以下の懲役刑とされています。自分で使うために小規模に栽培していたと言う程度であれば、単純な所持罪と比較して特に刑が重くなるという可能性は高くありませんが、照明器具などをそろえて大々的に栽培していたような場合、営利目的が認定されて、法定刑が10年以下の懲役(罰金刑併科の可能性あり)となるため、注意が必要です。
大麻は若年者に多く、高校生や大学生、新社会人が摘発の対象になることも珍しくありません。
高校生や大学1~2年生の場合、未成年であることがほとんどであり、少年事件として取り扱われます。この場合、以前に処分を受けたことがなくても、大麻の使用頻度や交友関係等によっては、少年院送致が選択されることもあります。
高校生、大学生の場合、通学を継続できるかどうか、新社会人の場合、職場に復帰できるかどうかが重要なポイントになってきますが、残念ながら薬物事犯については、学校や勤務先(業種にもよりますが)は総じて厳しいというのが現状です。