器物損壊 | 福岡の刑事事件相談、水野FUKUOKA法律事務所

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器物損壊

他人の物をわざと壊したり、ペットにケガをさせてしまったりした場合、器物損壊という罪に問われる可能性があります。器物損壊は親告罪であるため、被害者の方との話し合いによって事件化を避けられる犯罪です。逮捕や起訴を避けるためにも、まずは示談を成立させることが事件解決のポイントになります。

器物損壊罪

器物損壊罪は、他人の所有している物をわざと壊したり、傷つけたりしたときに成立する犯罪です(刑法261条)。
ちなみに、他人に貸し出したり、差し押さえを受けたりしている自分の物を壊した場合も処罰されます(刑法262条)。

「損壊」の意味

器物損壊の「損壊」とは、物の効用を害する一切の行為のことを指します。物理的に破壊するほか、心理的に使えなくしてしまう場合や隠して使えなくしてしまう場合も「損壊」にあたります。裁判例では、以下のような行為について器物損壊罪の成立が認められています。
徳利等に放尿する行為(大判明治42.4.16刑録15集452頁)
いけすの鯉を逃がす行為(大判明治44.2.27刑録17集197頁)
看板を撤去して隠す行為(最判昭和32.4.4刑集11巻4号1327頁)

器物損壊罪の対象となる物

また、器物損壊罪における損壊の対象となるものは、建物や公文書・私文書をのぞく「物」です。
建物や公文書・私文書をのぞく全ての物が対象になります。
なお、法律上は動物も「物」になりますので、他人所有のペットや家畜を傷つけたり、殺してしまったりする行為も「器物損壊」にあたります。

器物損壊罪の法定刑と処分の見通し

器物損壊罪の法定刑3年以下の懲役または30万円以下の罰金若しくは科料です。
被害弁償もしくは示談が成立している場合には、親告罪(告訴がなければ起訴できない犯罪のこと)のため、ほぼ確実に不起訴処分となります。被害弁償ができなかった場合でも、前科前歴がなければ、起訴猶予処分もしくは略式命令による罰金刑となることが比較的多い類型であるといえます。
他方、複数の前科前歴がある場合や、被害金額が多額である、態様が悪質(例えば、車に火を付けるなど)である場合には、公判請求される可能性もあります。

暴力行為処罰法

器物損壊行為が、団体若しくは多衆の威力を示し、団体若しくは多衆の威力を仮装して威力を示し、または凶器を示し、若しくは数人共同して行われた場合には、暴力行為処罰法違反という法律が適用されます。暴力行為処罰法違反の法定刑は、通常の器物損壊罪とほとんど変わりませんが、若干重くなっています。

器物損壊罪と逮捕・勾留

被害金額が軽微な事案では、そもそも逮捕されずに在宅で捜査が行われることも多いと考えられ、また逮捕されても勾留されずに釈放されることも多いと思われます。
もっとも、暴力行為処罰法が適用される事案など、組織的な背景が疑われる事案(例えば、暴力団員が数名結託して、対立する暴力団の自動車を破壊する場合など)や、背景にストーカーなどの存在が疑われる事案(元交際相手に対する嫌がらせとして持ち物を破壊するなど)などの場合には、比較的、勾留が認められやすいといえます。

器物損壊罪にあたる行為をしてしまった場合にやるべきこと

器物損壊罪にあたる行為をしてしまった場合には、まず刑事事件化しないことが大切です。もし逮捕されてしまった場合でも、後日被害者に告訴を取り下げてもらうことで不起訴処分を獲得することができます。

被害者の方に謝罪と弁償を行う

親告罪である器物損壊は、被害者の告訴がなければ、起訴できない犯罪です。
したがって、示談交渉を行い、告訴をしない、あるいは既に行った告訴を取り下げてもらうよう、交渉していくことが極めて重要です。

弁護士に相談する

器物損壊にあたる行為をしてしまった時点で、弁護士に相談することも大切です。弁護士に早めに依頼する具体的なメリットとしては、次のようなものがあります。

示談交渉がスムーズにいく

示談交渉では、当事者同士で直接話し合おうとすると双方が感情的になって話がこじれてしまう場合もあります。弁護士のような第三者をはさむことで冷静な話し合いができ、話もまとまりやすくなります。さらに、相手が相場より高額な慰謝料を請求してきたときにも対応可能です。

身柄の拘束を防ぐために努力してくれる

逮捕や勾留といった身体拘束を防ぐ、あるいは拘束期間を短くするために、必要な手続をとるべく弁護活動を行います。
身体拘束が長引くと職場を解雇されるおそれも出てくるなど社会生活上大きな不利益を被る可能性が出てきます。そのため、弁護士にとって、依頼者の身体の解放は大切な弁護活動の1つです。

依頼者の弁護をしてくれる

刑事事件として立件された場合も、依頼者にとってなるべく有利な処分が下されるように働きかけます。器物損壊罪は親告罪ですので、まずは被害弁償・示談を目指して活動します。

適切な初期対応が重要

器物損壊罪は親告罪です。もし本当に器物損壊に該当する行為をやってしまったとしても、被害者と示談できれば起訴することはありません。適切な初期対応をすることで逮捕や起訴を防げる可能性がありますので、早めの相談をおすすめします。

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