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医療観察

はじめに

刑法39条では、犯行当時心神喪失の状態にあった場合には、無罪とすると定められています。
また、犯行当時心神耗弱であった場合には、刑を減軽すると定められています。
このため、心神喪失・心神耗弱が疑われる場合には、そのことを理由に不起訴処分となったり、起訴された場合でも、無罪判決や執行猶予付判決となることがあります。
しかし、心神喪失の状態で、殺人や放火などの重大な加害行為を行った場合、無罪となって終わり、と言うことにはなりません。
このような事案については、医療観察法による強制的な入院や通院の制度が設けられています。
 

医療観察法の仕組み

心神喪失などの状態で、殺人や放火などの重大な加害行為を行い、そのことを理由に不起訴処分となったり、無罪判決を受けたりなどした場合には、検察官が医療観察法に基づく審判(これを「当初審判」と呼んでいます)を行います。
これを受けた裁判所では、裁判官と精神保健審判員(精神科医が選任される)からなる合議体で審理を行い、不処遇、通院決定、入院決定の審判を行います。
具体的には、精神保健審判員とは異なる精神科医が鑑定を行い、医療観察法による医療の必要性について意見を述べ、これをもとに裁判所が判断するという流れになります。
 

当初審判で審理される事項

当初審判では、そもそも加害行為を行ったか否か、責任能力の有無、といった点に加えて、以下のような事項が審理されます。
 

1.疾病性

対象者が対象行為時の心神喪失・心神耗弱の原因となった精神障害と同様の精神障害を有することを言います。
アルコール離脱せん妄や一過性の精神障害など、現在は全く症状が存在しないような場合に問題となります。
 

2.治療反応性

対象者に医療観察法による医療を受けさせることにより、精神障害の改善が見込まれることをいいます。
統合失調症や双極性障害(躁うつ病)などについては、薬物療法により症状の改善が見込まれることが多いといえますが、認知症、知的障害、発達障害、器質性精神障害などのように、医療による改善が見込まれないものも多く、こうした事案では問題となり得ます。
 

3.社会復帰阻害要因

医療観察法による医療を受けさせなければ、対象者の社会復帰の促進を図ることができない事情があることを言います。
これについては、福祉的な支援や帰住先での受け入れ状況の確保など、環境調整を行うことが特に重要になります。
 

医療観察法医療の実態

医療観察法に基づく入院決定となった場合、医療観察病棟を有する医療機関に入院することになります。
これは全て国公立で、全国に33箇所、883床(平成31年4月1日時点)が設置されています。
九州地方では、国立病院機構肥前精神医療センター(佐賀県・旧国立肥前療養所)、国立病院機構菊池病院(熊本県・旧国立療養所菊池病院)、長崎県病院企業団長崎県精神医療センター、鹿児島県立姶良病院、国立病院機構琉球病院(沖縄県・旧国立療養所琉球病院)の5箇所が指定入院医療機関とされており、残念ながら福岡県には指定入院医療機関がありません。
このため、福岡在住の方でも、遠方の病院に入院することになる場合があり、かえって社会復帰を阻害するのではないかと問題視されています。
また、通院決定となった場合にも、指定通院医療機関として指定されている病院に通院することが必要であるため、遠方の病院への通院を余儀なくされるなどの問題も生じています。
このように、医療観察法は問題点の多い制度として捉えられており、廃止すべきであるという見解も有力です。
 

当事務所の取り組み

当事務所の代表弁護士は、日弁連刑事法制委員会及び福岡県弁護士会医療観察法対策委員会に所属し、医療観察法に関する問題について熱心に取り組んでいます。
医療観察法については、刑事事件とは全く異なった観点からの検討が必要であり、社会復帰に向けた環境調整が特に重要な位置を占めます。
このため、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士が、必ずしも医療観察法の手続に精通しているわけではないことから、弁護士に依頼する際には注意が必要です(もっとも、圧倒的多数の事件は国選付添人が選任されています)。

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