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執行猶予

執行猶予とは?実刑判決との違いや注意点

執行猶予は、直ちに刑を執行する(=刑務所に入る)のではなく、一定期間、様子を見た上で、特に問題がなければ、最終的に刑を受けなくてもよいこととする制度です。
例えば、「懲役2年、執行猶予3年」という判決であれば、本来は2年間の懲役刑を受けなければならないところ、3年間の間は刑の執行を見送り、その間に特に問題がなければ、最終的に刑務所には行かなくてもよいという意味になります。有罪判決が避けられない場合、執行猶予が付与されるか否かは被告人のその後の人生を大きく変えることにもなりかねないため、刑事事件において執行猶予の獲得は重要な位置を占めます。

執行猶予の要件・前科との関係

法律上、執行猶予は、「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」「前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」についてのみ、可能であるとされています。前の刑で服役を終えてから5年経過していないような場合、そもそも執行猶予にならないため、注意が必要です。

実刑と執行猶予との分かれ目

法律上、執行猶予が可能であっても、実際の判決で執行猶予が付くか否かは事案の性質や情状によります。
例えば、覚せい剤や大麻などの薬物事犯(営利目的の輸入などは除く)や金額の小さな窃盗などでは、前科前歴がなければ執行猶予付の判決になることが多いといえますが、強盗、強制わいせつなどになってくると、前科がなくても実刑判決となることも珍しくありません。他にも、前に有罪判決を受けてからの期間によって、執行猶予になるか実刑になるかが微妙な事案もあります。例えば覚せい剤の所持・使用などの場合、前回から10年以上経っている場合は執行猶予になることが比較的多いようですが、7~8年程度ですとやや厳しく、丁寧な情状立証が必要になってきます。
ただ、その判断はあくまでケースバイケースであり、傷害致死や殺人などの重大事件であっても、執行猶予付の判決となるケースもあります。
弁護人としては、被告人にとって最大限有利な事実関係を証明し、今後の更生をサポートする体制が整っていることを訴えかけていきます。

保護観察付執行猶予

通常の執行猶予では、判決後は通常の日常生活に戻り、特に第三者による監督などはありません。これに対して、執行猶予に保護観察が付される場合があり、この場合は、定期的に保護司と面談するなどの、遵守事項と呼ばれる約束事が定められます。遵守事項に違反した場合には、執行猶予を取り消される可能性があるため、保護観察付執行猶予の場合は、通常の執行猶予に比較して特に注意が必要です。また後述する再度の執行猶予の対象にもなりません。実際には、前にも執行猶予付の判決を受けたことがあり、執行猶予期間は既に経過しているものの、再び通常の執行猶予とするには不安が残る場合や、薬物の再犯事件で公的機関による薬物離脱プログラムを受けた方が好ましいと判断された場合などに活用されているようです。

再度の執行猶予

執行猶予中の再犯については、原則として実刑判決が言い渡されますが、再犯に関する裁判の判決が1年以下の懲役刑もしくは禁固刑で、「情状に特に酌量すべきものがあるとき」には、再度の執行猶予が可能です。この場合、必ず保護観察付執行猶予になります。
このため、執行猶予中の再犯であっても、事案によっては、諦めずに手を尽くすことによって、服役を免れることが可能です。最近の事例では、万引きの再犯について、精神障害の治療を優先させるべきであるとして再度の執行猶予とした裁判例などが報告されています。

一部執行猶予

これまで述べてきたのは、刑の全部についての執行猶予に関するものでしたが、刑の一部執行猶予という制度もあります。これは、文字通り、刑の一部について執行猶予にするというもので、例えば懲役3年、うち1年を執行猶予という判決であれば、2年間は服役する必要があるものの、その後は出所して社会生活を送ることが可能であり、早期の社会復帰が可能となります。
なお、覚せい剤などの薬物事件については、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律という法律により、一部執行猶予の要件が緩和されています。前科などの関係で服役が避けがたい場合でも、一部執行猶予を獲得することで、早期の社会復帰を目指すことが重要になってきます。

執行猶予の取消

執行猶予期間中は、法律で定められた一定の条件に合致すると、執行猶予自体が取り消されてしまいます。
実際上多いのが、執行猶予中の再犯です。例えば、覚せい剤の使用で懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の判決を受けた場合、執行猶予期間中に再度覚せい剤を使用して懲役2年の有罪判決を受けた場合を想定してみると、後の事件の有罪判決の確定によって執行猶予が取り消され、前の判決の1年6ヶ月に、後の事件の2年を加えた、合計3年6ヶ月の間服役をしなければならないということになります。
このように、執行猶予中の再犯の場合には、服役期間が長くなってしまうことがあり得るため、執行猶予中には、決して犯罪となる行為をしないよう注意することはもとより、自動車の運転などを行うに際しても、事故を起こさないように細心の注意を払って生活する必要があるといえます。

執行猶予判決を目指すなら

執行猶予は、実刑判決のように実際の懲役・禁錮を受けずに済むことから、社会復帰を果たしやすいというメリットがあります。しかし、執行猶予判決を勝ち取るためにはいくつかのハードルがあり、猶予期間中の生活にも注意が必要です。いずれの場合も刑事事件に強い弁護士のサポートは必須であることから、早い段階での相談をおすすめします。

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