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司法試験への心構え この一矢に定むべし 徒然草とゴールデンカムイに学ぼう

1 旧帝大の驚くべき司法試験合格率

私は、九州大学法科大学院で「精神医療と法」という講義を担当しており、ロースクールの学生と交流する機会がある。

そこで驚いたのは、九州大学法科大学院は、司法試験の合格率が全国平均を下回っているということであった。

気になって調べてみると、京都大学、一橋大学、慶應義塾大学は合格率が60%を超えており、全体の合格率は40%程度であるのに対し、九州大学法科大学院は23.4%に留まっているということであった。

https://www.agaroot.jp/shiho/column/law_school_ranking/

九大自身も、ホームページで

司法試験の合格率が3年連続で全国平均を下回ったことなど、今回の結果を大変厳しいものとして重く受け止めています。

本年の結果を詳細に分析して、未修者の合格率や2回目以降の受験者の合格率の改善を図るため、教育課程の見直しと修了生への対策を講じて、最終合格率の向上につなげていく所存です。

と反省の弁を述べており、合格率の低迷を憂慮しているようである。

https://www.law.kyushu-u.ac.jp/lawschool/barexam/#:~:text=%E4%BB%A4%E5%92%8C5%E5%B9%B4%20%E5%8F%B8%E6%B3%95%E8%A9%A6%E9%A8%93%E3%81%AE%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6&text=%E6%9C%80%E7%B5%82%E5%90%88%E6%A0%BC%E7%8E%87%E3%81%AF23.40,%E5%90%8D%E3%81%8C%E5%90%88%E6%A0%BC%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

私立大学は合格率を一定以上に保つために、進級要件を厳しくするなどして受験させないなどの方策をとっているところもあるというので一概には言えないところであるが、いわゆるMARCHや関関同立、日東駒専にも苦戦気味であるというのは、旧帝大としてはゆゆしき事態である。ちなみに、中央大学は39.3%、明治大学は27.4%、法政大学は25.0%、同志社大学は33.3%、専修大学は28.6%であり、いずれも九州大学を上回っている。

 

2 二の矢三の矢があると思ってはいけない

ある機会に学生に尋ねたところ、その学生の意見では、九大の場合、1回で合格しなければならないという危機感が薄いのが、合格率の低迷に関係しているのではないかということであった。

その話をきいた私としては、そちらの方がゆゆしき事態である。

徒然草に、以下のような文章がある。

ある人、弓射ることを習ふに、諸矢をたばさみて的に向かふ。師のいはく、「初心の人、二つの矢を持つことなかれ。後の矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。毎度ただ得失なく、この一矢に定むべしと思へ。」と言ふ。

(第92段)

現代語訳

ある人が弓矢を習っているとき、2本の矢を手に持って的に向かった。師匠はそれをみて、「習い始めの者は、2本の矢を持ってはいけない。2本目の矢を当てにして、1本目の矢をおろそかにする心が生じるからである。矢を射る毎に成功・失敗を考えるのではなく、この1本の矢で決めようと思いなさい」といった。

 

最近では、漫画「ゴールデンカムイ」でも、以下のような場面がある(権利関係がややこしくなるので原典は各自で当たってほしい)。

谷垣源治郎「おい予備の弾は出さないのか?村田単発銃を使う猟師はみんな、撃ち損じたときすばやく予備の弾を装填できるように指にいくつか挟んでいたぞ」

二瓶鉄造「5発あれば5回勝負できると勘違いする。一発で決めねば殺される。一発だから腹が据わるのだ」

私はこれらの例を引き合いに出して、学生には、「2回目、3回目で合格すればよいなどと考えてはいけない。1回で決める覚悟で受験しなければならない」と述べた。

 

3 徒然草の言うことは統計でも裏付けられている

そのことは統計にも表れている。九州大学自身が発表した数値によれば、ロースクール終了直後の合格率は41.94%(全国平均55.04%)であるのに対して、既卒生は19.72%(全国平均32.61%)と、大きな開きがあるのである。

https://www.law.kyushu-u.ac.jp/lawschool/barexam/R5kekka.pdf

運転免許みたいに、毎週のように試験をやっているわけではないので、一度不合格になってしまうと精神的にかなりキツいのが司法試験の特徴である。その意味からも、2度目、3度目を当てにすることは、モチベーションの維持という問題が大きくのしかかってくる。

また、1年間実務に出るのが遅れることは、それだけ実務家としての研鑽を積む機会が遅れるということになるし、その分働けなくなるので、百万単位で逸失利益が出ることも見過ごせない。昔と違って働きながら受験する人が減っている以上、尚更である。

九州大学法科大学院の当局は、まずは学生の意識調査を実施した上で、とりあえず、徒然草とゴールデンカムイを読ませることから始めるべきだろう。

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