続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ4 徐々に増える実刑判決 20210804
はじめに
持続化給付金の不正受給について、一般の方や、全国で同種事案の弁護人をされる先生方の参考になるよう、持続化給付金の判決について、情報収集を行い、分析を続けている。前回の記事から、さらにいくつかの判決に関する情報を入手した。
これまでの過去記事は以下をご覧いただきたい。
続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ3 不可解な地域差 20210703
続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ2 20210616
【速報】 持続化給付金詐欺 の判決まとめ 20210429
前回から約1箇月を経過し、新たな事案が集積されてきたため、さらに分析を行いたい。
報道発表から読み取れる範囲で一覧表を作成しており、役割や被害弁償、分け前などについては一部、推測に渡るものも含まれている。また、本稿掲載時点で検察官による求刑まで行われ、判決言渡未了のものについても参考のために掲載した。
ちなみに、これらの判決の中で、当職が弁護人などとして関与しているものは存在しない。
最新の一覧表はこちら
判決内容
前回から5件増加し、執行猶予付判決が27件、実刑判決が9件となった。5件全てが高裁本庁所在地以外の地方裁判所における事案である。
判決の分析
判決32と33は同一事件の共犯者同士であり、キャバクラ店の経営者と従業員である。報道記事からは件数がわからないものの、被害弁償が見込まれることなどを理由に、執行猶予付判決が言い渡されている。特に従業員に関する判決33は、懲役1年執行猶予3年と、他の裁判例と比較しても、かなり軽い量刑になっている。
判決34は、3件の不正受給の事案で、執行猶予付判決が選択されている。報道記事では明言されていないものの、恐らく首謀者的地位の人物から勧誘された比較的、末端の存在であり、かつ、被害弁償が見込まれることが、主たる理由なのではないかと分析される。
これに対して、判決35は、実刑判決である。件数が6件と比較的多いことや、件数から見て首謀者的地位にあると思われること、被害弁償が十分なされていなかったのではないかと思われること等が、実刑判決となった理由ではないかと推測され、やむを得ないものと思われる。検察官の求刑は4年であり、そこから見れば判決は求刑をかなり下回っているが、どのような事情が考慮されたためであるのかについては、原文にあたっていないのでなんともいえない。
これに対して判決36は、3件の不正受給で2年の実刑判決が言い渡されている。報道記事では被害弁償について述べられていないので、恐らく被害弁償が十分になされなかったのではないかと推測される。仮に全額被害弁償されていてこの判決と言うことであれば、やや重すぎるようにも思われ、控訴を検討すべきであるように思われる。
年齢・職業
20代が20人、30代が10人、40代が4人、60代が1人であり、平均は30.8歳と、依然として若年者が圧倒的に多く、平均年齢も低い傾向にある。
今後の見通し
徐々に実刑判決が増加している傾向にある。もっとも、これは、件数の多い事案や、首謀者的地位にある者の裁判が徐々に増えてきているためであると考えられ、一概に持続化給付金の不正受給に関する詐欺の量刑が重くなりつつあると断定することはできない。
しかしながら、従前の傾向や詐欺事件一般の量刑傾向に比して、いささか重すぎるのではないかとも感じられる事案も散見されるようになってきており、振り込め詐欺同様に、見せしめ的な重罰化がなされないよう、今後も注意して見守っていく必要があるように思われる。
まとめ
前回も記載したとおり、持続化給付金不正受給は、初犯でも実刑の可能性がありうる事件類型である。
また、他の犯罪類型と比較すると、相応の学歴や社会的地位があり、家族や安定した勤務先を有する者がこの犯罪に手を染めていることも珍しくない。こういう場合、突如として逮捕・勾留され、長期間にわたって接見禁止となることにより、家族や仕事に与える影響は甚大であり、被疑者段階あるいは起訴後の保釈段階の弁護活動も重要になってくる。これらについては機動力が求められ、弁護士によって対応が異なってくるため、依頼する弁護士は慎重に選んだ方がよい。安易に、全国展開しているとか弁護士の人数が多いとか元検事の弁護士がいると言うだけで決めるというのは、あまりおすすめしない。
ご依頼を検討中の方に~当事務所の方針
最後に、最近、問い合わせを受けることが多くなっているので、持続化給付金の不正受給に関する依頼を検討されている方に、当事務所の基本的な方針をお伝えしておきます。
被疑者段階
被疑者段階での依頼については、警察署等への接見が必要となってくるため、ある程度の地理的制約があります。このため、あまりに遠方の事件についてはお断りすることもあります。但し、現地に知り合いの弁護士がいる場合には、共同で受任して、接見は専ら現地の先生にお願いするという形で受任することは可能ですので、まずはお問い合わせいただければと思います。
当職が受任した場合、遠方に接見に行く場合には、交通費実費と日当をいただきます。日当については、距離や所要時間などによって異なってくるので、詳細は個別にお問い合わせください。
なお、正式に依頼するかどうかは未定であるものの、とりあえず一度接見に行った上で、今後の弁護方針に関するセカンドオピニオンを提供するということも可能です。こちらについては、日程が合う限りにおいて、全国対応が可能です。弁護士費用及び日当、交通費については、お問い合わせください。
被告人段階 第一審
起訴後からでも、勿論ご依頼は可能です。この場合、被疑者段階よりは接見頻度も少ないことが想定されるため、被疑者段階よりは、遠方のご依頼でもご負担は少ないと思います。保釈により釈放された場合には、テレビ電話等での打ち合わせも可能です。弁護士費用については、件数や認否、事案の複雑さによって変わってきますので、個別にご相談下さい。
被疑者段階同様、セカンドオピニオンのご依頼も歓迎です。この場合は、現在、依頼している弁護人から、事件に関する記録を入手した上でご相談下さい。
被告人段階 控訴審 上告審
控訴審、上告審のご依頼も可能です。
まず、第一審の判決謄本等を検討した上で、控訴に関する見通しについて意見を述べるという形でご依頼いただくことが可能です。
控訴審は、通常の事案であれば、弁論を1回開いて結審し、第2回で判決言渡しになることが多いため、遠方の事案でも、期日のために出廷する回数は2回となることが多いです。ただ、接見や保釈請求等の関係で出張が必要となることもあります。
判決文・報道記事提供のお願い
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こちらからお願いいたします。
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