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続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ6 執行猶予判決の増加は「第2波」の到来を予感

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はじめに

持続化給付金の不正受給について、一般の方や、全国で同種事案の弁護人をされる先生方の参考になるよう、持続化給付金の判決について、情報収集を行い、分析を続けている。前回の記事から、さらにいくつかの判決に関する情報を入手した。
これまでの過去記事は以下をご覧いただきたい。
続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ5 背景事情の多様化 20210917
続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ4 徐々に増える実刑判決 20210804
続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ3 不可解な地域差 20210703
続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ2 20210616
【速報】 持続化給付金詐欺 の判決まとめ 20210429前回から約1箇月半を経過し、新たな事案が集積されてきたため、さらに分析を行いたい。
報道発表から読み取れる範囲で一覧表を作成しており、役割や被害弁償、分け前などについては一部、推測に渡るものも含まれている。また、本稿掲載時点で検察官による求刑まで行われ、判決言渡未了のものについても参考のために掲載した。
ちなみに、これらの判決の中で、当職が弁護人として関与しているものは存在しない。

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判決内容

前回から9件(判決8件、求刑まで1件)増加し、執行猶予付判決が8件、実刑判決は0件となった。8件のうち、5件が高裁所在地の地方裁判所、1件がそれ以外の地方裁判所本庁、2件が支部における判決である。

判決の分析

 判決45は、実際には風俗店を経営しており、持続化給付金を受給する要件を欠いているにもかかわらず、他の業種を営んでいるように装って受給したという事案である。そもそも個人事業者ですらない者が個人事業者を装うという、一般的な不正受給の事案とはやや異なっている。禁止地区で風俗店を営業したという風営法違反も併せて起訴されているものの、実質的に1件であることなどもあり、返金については不明であるものの、懲役2年執行猶予3年が選択されている。個人による自己名義の不正受給よりもやや重い、という程度である。
 判決46は、組織的な持続化給付金の不正受給において、書類の作成役として関与したという事案である。被害件数は4件であり、うち2件については、申請名義人が全額返金し、1件は準備中、被告人自身も、共犯者が返金できなかった場合に備えて100万円を用意しているといった事情や、前科前歴がないことなども考慮され、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。件数や返金状況などに照らして考えると、裁判官によっては実刑判決もありうるものと思われ、限界的な事案であると考えられる。
 判決47は、自己名義での不正受給1件の事案であり、これまでの傾向に聡形で、懲役1年6月執行猶予3年とされている。首謀者が公判係属中であることや、20代の大学生であることなども考慮すると、勧誘されて申請を行い、手数料を支払っている末端の申請名義人と考えられる。
 判決48-50は、いずれも同一の首謀者による組織的な持続化給付金の不正受給に関する事案である。3件に関与した判決48、49の両名には、懲役3年執行猶予5年、2件に関与した判決50では懲役2年6月執行猶予5年が、それぞれ言い渡されている。判決48は、現職の行政書士とされているものの、職業不詳(報道発表からは読み取れなかった)の判決49と比較して、特に量刑に差は付けられていない。
 判決51は、本データベース内では初の否認事件である。もっとも、報道を見る限り、被告人は故意や共謀を争っていたようである。この種の事案では、「個人事業者であれば誰でも給付金を申請できると思っていた」と弁解するものの、提出する書類の内容が虚偽であることについては認識していたというような場合も少なくなく、振り込め詐欺の受け子や出し子の故意・共謀に関する最高裁判例の考え方に照らしてみると、少なくとも内容虚偽の書類を提出して給付金を受給することについて認識があれば、詐欺の故意としては足りるのではないかと思われ、正面から争うような事案であったのかどうかは判然としない。もっとも、最終的には、件数3件で懲役2年6月執行猶予4年とされており、認め事件に比較して特に重い量刑とまでは思われない。裁判官も、実質的には認め事件であると考えていたのではないかとも推測される。
 判決52は、件数6件と多数ながら、執行猶予付判決となった事案である。その理由は判決原文に当たれていないので必ずしも明確でないものの、4件について返金され、1件が手続き中、被告人も自身の名義で申請したものについて返金中であること等、全件について返金の目処が立っていることが大きいのではないかと思われる。被告人は「指南役」と認定されているものの、具体的に共犯者間での役割分担がどの程度であったのかは判然としない。既に述べているように、持続化給付金の不正受給自体は極めて単純な手口で行われており、「指南」といっても、せいぜい必要書類やその書き方を教示する程度であると思われるため、そこまで難しい内容を含むものではないからである。

年齢・職業

20代が27人、30代が12人、40代が7人、50代が2人、60代が1人、70代が1人であり、平均は32.26歳と、依然として若年者が圧倒的に多く、平均年齢も低い傾向にある。60代の被告人は税理士、70代の被告人は行政書士といずれも士業であり、やはり持続化給付金の不正受給を行うにあたっては、PC操作に関する一定の知識が必要であり、高齢者についてはそうした知識を有する者のみが関与していることがうかがわれる。

今後の見通し

前回までは、首謀者的地位にある者の判決が出てきたことなどから、徐々に量刑の重い事案が増えているという全体的な傾向が認められたものの、今回は全て執行猶予付の判決であり、一見すると量刑傾向が軽くなったのではないかとも思われる。
しかしながら、今回の事件は、ほとんどが3件以下の事案であり、共犯者間での役割分担としては軽い部類に含まれる者がほとんどである。このため、今回の事件に関していうと、首謀者的地位にある者の公判は、これからのものが多数控えていると思われ、今回紹介した事例は、立件される時期がはじめの頃の事案よりも遅かったもの、すなわち、第二波の事案なのではないかと思われるところである。
筆者の体感として、1~3件程度の末端の申請名義人や勧誘役であれば、起訴後、1回で結審して判決という事案が多数を占めていることから、起訴されてから判決までの期間は概ね1-2箇月程度であると考えられる。一方、首謀者的地位にある者については、追起訴が続くことにより、最初の起訴から半年や1年近く経過しても、なお全件の追起訴に至らない事案も少なくない。このため、第一波の事件の首謀者に関する公判が係属しているうちに、第二波、第三波の末端の申請名義人の公判が終わっていくという事態は容易に想定しうるところであり、現にそのようになっているものと思われる。他方で、在宅で捜査が行われている件については、起訴までに相当期間が経過しているものもあり、また、首謀者の検挙に至ってないなどの理由で、在宅事件のまま1年近く放置されている事案も存在する。このことは、被害弁償や、保釈請求を行うにあたっては、よく念頭に置いておくべきであると思われる。

まとめ

前回も記載したとおり、持続化給付金不正受給は、初犯でも実刑の可能性がありうる事件類型である。
また、他の犯罪類型と比較すると、相応の学歴や社会的地位があり、家族や安定した勤務先を有する者がこの犯罪に手を染めていることも珍しくない。こういう場合、突如として逮捕・勾留され、長期間にわたって接見禁止となることにより、家族や仕事に与える影響は甚大であり、被疑者段階あるいは起訴後の保釈段階の弁護活動も重要になってくる。これらについては機動力が求められ、弁護士によって対応が異なってくるため、依頼する弁護士は慎重に選んだ方がよい。安易に、全国展開しているとか弁護士の人数が多いとか元検事の弁護士がいると言うだけで決めるというのは、あまりおすすめしない。
現在でも、持続化給付金の不正受給については、新たな逮捕報道が連日のように行われているため、当面はこの種の事案について、立件が続くものと見込まれる。未だに立件に至っていないものもあるため、公訴時効である7年間は、捜査が続くのではないかとも考えられるところである。

ご依頼を検討中の方に~当事務所の方針

最後に、最近、問い合わせを受けることが多くなっているので、持続化給付金の不正受給に関する依頼を検討されている方に、当事務所の基本的な方針をお伝えしておきます。

被疑者段階

被疑者段階での依頼については、警察署等への接見が必要となってくるため、ある程度の地理的制約があります。このため、あまりに遠方の事件についてはお断りすることもあります。但し、現地に知り合いの弁護士がいる場合には、共同で受任して、接見は専ら現地の先生にお願いするという形で受任することは可能ですので、まずはお問い合わせいただければと思います。
当職が受任した場合、遠方に接見に行く場合には、交通費実費と日当をいただきます。日当については、距離や所要時間などによって異なってくるので、詳細は個別にお問い合わせください。
なお、正式に依頼するかどうかは未定であるものの、とりあえず一度接見に行った上で、今後の弁護方針に関するセカンドオピニオンを提供するということも可能です。こちらについては、日程が合う限りにおいて、全国対応が可能です。弁護士費用及び日当、交通費については、お問い合わせください。

被告人段階 第一審

起訴後からでも、勿論ご依頼は可能です。この場合、被疑者段階よりは接見頻度も少ないことが想定されるため、被疑者段階よりは、遠方のご依頼でもご負担は少ないと思います。保釈により釈放された場合には、テレビ電話等での打ち合わせも可能です。弁護士費用については、件数や認否、事案の複雑さによって変わってきますので、個別にご相談下さい。
被疑者段階同様、セカンドオピニオンのご依頼も歓迎です。この場合は、現在、依頼している弁護人から、事件に関する記録を入手した上でご相談下さい。

被告人段階 控訴審 上告審

控訴審、上告審のご依頼も可能です。
まず、第一審の判決謄本等を検討した上で、控訴に関する見通しについて意見を述べるという形でご依頼いただくことが可能です。
控訴審は、通常の事案であれば、弁論を1回開いて結審し、第2回で判決言渡しになることが多いため、遠方の事案でも、期日のために出廷する回数は2回となることが多いです。ただ、接見や保釈請求等の関係で出張が必要となることもあります。

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