痴漢、盗撮、盗聴、のぞき、公然わいせつ | 福岡の刑事事件相談、水野FUKUOKA法律事務所

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痴漢、盗撮、盗聴、のぞき、公然わいせつ

痴漢

痴漢行為の定義、適用される法令

痴漢行為については、各都道府県の条例で罰則の対象になっています。例えば、福岡県迷惑行為防止条例をみると、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。」(福岡県迷惑行為防止条例6条1項)とされた上で、「他人の身体に直接触れ、又は衣服の上から触れること。」(同1号)、「前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。」(同2号)が禁止の対象とされています。
1号は、例えば電車の中で女性のお尻を触るような、典型的な痴漢行為が対象となっています。2号の「卑わいな言動」というのは抽象的な表現ですが、最高裁の判例によれば、「社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」(最決平成20.11.10刑集 62巻10号2853頁)を言うものと解釈されており、実際上は1号の痴漢行為に準ずるような行為が対象とされるものと考えられます。他県の条例に関する事例ですが、具体的には、

  • 女児のスカートをめくり上げる行為(神戸地伊丹支判令和元.9.10平成31(わ)26号他)
  • 男子の口の中に指を差し入れ、首を絞めるなどした上で、手首を掴んで着衣の上から自分の陰茎を触らせる行為(千葉地判令和元.6.6平成30(わ)1690号他)
  • 店舗内において、女性に対して自己の陰茎を露出した上で自慰をする行為(さいたま地判平成29.9.28平成28年(わ)1691号、但し心神喪失が認定された)
  • ショッピングセンターにおいて女性客の後ろを執ように付けねらい、デジタルカメラ機能付きの携帯電話でズボンを着用した同女の臀部を近い距離から多数回撮影する行為(先掲最決平成20.11.10)

などがこれにあたるものとされています。
もっとも、痴漢行為の一部については、強制わいせつ罪が適用されることがあり、この場合は法定刑が条例違反に比べてかなり重くなります。

逮捕・勾留の可能性

近年は、逮捕されずに在宅で捜査される事例や、逮捕されても検察官が勾留請求しない、あるいは裁判所が勾留を認めないことにより、早期に釈放される事案が増えています。痴漢行為は、見ず知らずの相手に対して偶発的に行うことが多いため、被害者に働きかけて罪証隠滅を図る可能性が高くないことや、通勤電車内における痴漢などの場合、安定した勤務先があることが多いためであると考えられます。もっとも、これらの事情を適確に検察官・裁判官に伝えるためには、早期に弁護人を選任することにより、身元引受書等の証拠資料を収集することが不可欠です。

処分の見通し

特に初犯で前科がなければ、示談が成立すれば一般的には起訴猶予処分となる可能性が高いといえます。示談が成立しなかった場合でも、初犯であれば、20万~30万円程度の略式命令による罰金刑となる可能性が高いといえます。
もっとも、痴漢行為の態様が悪質である場合や被害者が未成年者である場合などは、初犯であっても処分が重くなる傾向にありますし、前科前歴によっては、迷惑行為防止条例違反のみでも公判請求される可能性があります。

否認事件

満員電車における痴漢の場合、被害者の供述以外に客観的な証拠がないことも多く、えん罪が主張された事例で最終的に無罪となったものも多数、存在します。このような場合には、取り調べに対してどのような対応をとるか、という問題があるほか、被害者の供述経過を具体的に検討した上で、証人尋問を適確に行う必要があります。場合によっては、被害者と同程度の体格の人物や人形を用いて再現事件を行うことも検討されます。

職場との関係

福岡県迷惑行為防止条例違反の法定刑は6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金であり、初犯の場合は示談が成立しなくとも20万~30万円の略式命令となることが多いため、犯罪の中では軽微な部類に属するといえます。しかし、被疑者が公務員や有名企業に勤務するサラリーマン、専門職であった場合などは、新聞などで実名が報道されてしまう可能性もあり、その場合、職場との関係が問題となり得ます。
ここで、国家公務員の懲戒処分に関する指針をみると、痴漢行為については、停職処分または減給処分にするものとされています。このため、会社から懲戒免職処分にする旨伝えられたり、あるいは退職を勧められた場合には、処分として不当に重すぎないか検討し、処分について会社との交渉を行う余地がないか検討する必要が出てくる場合もあり得ます。

治療

何度も検挙されているのに、痴漢行為を止められない、という方もしばしばみられます。このような方については、性嗜好障害という精神疾患が関係している可能性があります。こうした場合には、医療機関で治療を行ったり、自助グループに参加したりすることによって、治療を進めていることを立証することで、検察官の終局処分や裁判における判決に対して有利に働く可能性があります。

盗撮・盗聴・のぞき

定義・適用される法令

盗撮行為についても、迷惑行為防止条例が規制をしています。都道府県によって若干、内容が異なっていますが、福岡県迷惑行為防止条例では、「何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、正当な理由がないのに、前項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。」(福岡県迷惑行為防止条例6条2項)とされ、「通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を用いて撮影すること。」(同1号)、「前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。」(同2号)が規制の対象となっています。1号は、典型的な盗撮行為ですが、例えばスマートフォンを被害者のスカートの下に潜り込ませたものの、結果的に写真が撮れなかったような場合にも、2号によって規制の対象となりますので注意が必要です。
また、迷惑行為防止条例は、「公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所」という制限があるため、プライベートな空間における盗撮行為は条例違反とはなりませんが、この場合でも、軽犯罪法1条23号の「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」に該当し、処罰の対象となることがあり得ます。単純なのぞき行為についても同号が適用されることがあります。
他にも、盗撮行為を行う目的で、女子トイレや更衣室、他人のマンションの共用部などに立ち入った場合には、建造物侵入罪もしくは邸宅侵入罪に該当する可能性があります。
盗聴行為については、使用する機材によっては電波法違反が成立する可能性もありますが、実際上は、盗聴器を仕掛けるために他人の家などに侵入する行為を住居侵入罪などで取り締まることが多いように思われます。

逮捕・勾留の可能性

盗撮行為が迷惑行為防止条例違反にあたる場合、法定刑は痴漢の場合と同様のため、痴漢の場合と同じように考えてよいものと思われます。こちらをご覧下さい。

処分の見通し

痴漢の場合と概ね同様です。こちらをご覧下さい。軽犯罪法違反のみの場合、示談の有無にかかわらず起訴猶予処分となる可能性もあります。

治療

盗撮やのぞき行為についても、何度も検挙されながら止められない場合、性嗜好障害を考慮する必要があります。痴漢の場合と同様ですので、こちらをご覧ください。

公然わいせつ

定義・適用される法令

刑法174条が公然わいせつ罪を定めており、法定刑は6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料とされています。典型的には、公衆の面前で陰部を露出させるような行為がこれに該当しますが、最近では、わいせつ行為をネット中継するような類型も見られます。もっとも、動画が保存された状態で閲覧可能になっているような場合には、公然わいせつ罪ではなくわいせつ物頒布等罪に該当することになります。

逮捕・勾留の可能性

法定刑はそれほど重くないことや、多数の目撃者がいることが通常であること、目撃者とは面識がないことも多いことなどから、逮捕・勾留されずに在宅捜査となる可能性が高い類型です。

処分の見通し

痴漢や盗撮などと異なり、直接的な被害者がいるとは言い切れない(わいせつ行為を見せつけられた人は一応、被害者であるといえなくもないですが、公然わいせつ罪の保護法益は社会の性的秩序であると考えられているため、社会に対する犯罪という位置づけです)ため、示談が重要視される度合いは大きくありません。初犯で特に前科前歴がなければ、20~30万円程度の略式命令で終わる可能性が高いといえます。但し、ネット配信など営利目的がうかがえる場合や、前科がある場合など、公判請求される可能性が高い場合もあるため注意が必要です。

治療

何度も検挙されながら、公衆の面前で露出する行為が止められない、と言う人もしばしばみられます。この場合についても、医療機関や自助グループなどに適切につなぐ必要があるといえます。

まとめ

痴漢や盗撮、公然わいせつなどについては、マスコミ報道などで大々的に取り上げられることもあるため、誤解されがちなところですが、実際には、少なくとも法定刑に関して言えば、窃盗や傷害などより遙かに軽い類型であるといえます。このため、早期の身体拘束からの海洋や、起訴猶予・略式命令等の有利な処分を目指すところまで、弁護人が適確に活動することによって依頼者の利益を最大限、追求することが重要になってきます。
また、逸脱行為として見過ごされがちな性依存症についても、適切な医療機関等につなげることによって、再犯防止を目指すことが重要になってきます。

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