司法試験への心構え この一矢に定むべし 徒然草とゴールデンカムイに学ぼう |福岡の刑事事件相談、水野FUKUOKA法律事務所

福岡の刑事事件に強い弁護士

初回相談無料 092-519-9897 24時間、即時無料相談対応
メールでのお問い合わせはこちら

司法試験への心構え この一矢に定むべし 徒然草とゴールデンカムイに学ぼう

1 旧帝大の驚くべき司法試験合格率

私は、九州大学法科大学院で「精神医療と法」という講義を担当しており、ロースクールの学生と交流する機会がある。

そこで驚いたのは、九州大学法科大学院は、司法試験の合格率が全国平均を下回っているということであった。

気になって調べてみると、京都大学、一橋大学、慶應義塾大学は合格率が60%を超えており、全体の合格率は40%程度であるのに対し、九州大学法科大学院は23.4%に留まっているということであった。

https://www.agaroot.jp/shiho/column/law_school_ranking/

九大自身も、ホームページで

司法試験の合格率が3年連続で全国平均を下回ったことなど、今回の結果を大変厳しいものとして重く受け止めています。

本年の結果を詳細に分析して、未修者の合格率や2回目以降の受験者の合格率の改善を図るため、教育課程の見直しと修了生への対策を講じて、最終合格率の向上につなげていく所存です。

と反省の弁を述べており、合格率の低迷を憂慮しているようである。

https://www.law.kyushu-u.ac.jp/lawschool/barexam/#:~:text=%E4%BB%A4%E5%92%8C5%E5%B9%B4%20%E5%8F%B8%E6%B3%95%E8%A9%A6%E9%A8%93%E3%81%AE%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6&text=%E6%9C%80%E7%B5%82%E5%90%88%E6%A0%BC%E7%8E%87%E3%81%AF23.40,%E5%90%8D%E3%81%8C%E5%90%88%E6%A0%BC%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

私立大学は合格率を一定以上に保つために、進級要件を厳しくするなどして受験させないなどの方策をとっているところもあるというので一概には言えないところであるが、いわゆるMARCHや関関同立、日東駒専にも苦戦気味であるというのは、旧帝大としてはゆゆしき事態である。ちなみに、中央大学は39.3%、明治大学は27.4%、法政大学は25.0%、同志社大学は33.3%、専修大学は28.6%であり、いずれも九州大学を上回っている。

 

2 二の矢三の矢があると思ってはいけない

ある機会に学生に尋ねたところ、その学生の意見では、九大の場合、1回で合格しなければならないという危機感が薄いのが、合格率の低迷に関係しているのではないかということであった。

その話をきいた私としては、そちらの方がゆゆしき事態である。

徒然草に、以下のような文章がある。

ある人、弓射ることを習ふに、諸矢をたばさみて的に向かふ。師のいはく、「初心の人、二つの矢を持つことなかれ。後の矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。毎度ただ得失なく、この一矢に定むべしと思へ。」と言ふ。

(第92段)

現代語訳

ある人が弓矢を習っているとき、2本の矢を手に持って的に向かった。師匠はそれをみて、「習い始めの者は、2本の矢を持ってはいけない。2本目の矢を当てにして、1本目の矢をおろそかにする心が生じるからである。矢を射る毎に成功・失敗を考えるのではなく、この1本の矢で決めようと思いなさい」といった。

 

最近では、漫画「ゴールデンカムイ」でも、以下のような場面がある(権利関係がややこしくなるので原典は各自で当たってほしい)。

谷垣源治郎「おい予備の弾は出さないのか?村田単発銃を使う猟師はみんな、撃ち損じたときすばやく予備の弾を装填できるように指にいくつか挟んでいたぞ」

二瓶鉄造「5発あれば5回勝負できると勘違いする。一発で決めねば殺される。一発だから腹が据わるのだ」

私はこれらの例を引き合いに出して、学生には、「2回目、3回目で合格すればよいなどと考えてはいけない。1回で決める覚悟で受験しなければならない」と述べた。

 

3 徒然草の言うことは統計でも裏付けられている

そのことは統計にも表れている。九州大学自身が発表した数値によれば、ロースクール終了直後の合格率は41.94%(全国平均55.04%)であるのに対して、既卒生は19.72%(全国平均32.61%)と、大きな開きがあるのである。

https://www.law.kyushu-u.ac.jp/lawschool/barexam/R5kekka.pdf

運転免許みたいに、毎週のように試験をやっているわけではないので、一度不合格になってしまうと精神的にかなりキツいのが司法試験の特徴である。その意味からも、2度目、3度目を当てにすることは、モチベーションの維持という問題が大きくのしかかってくる。

また、1年間実務に出るのが遅れることは、それだけ実務家としての研鑽を積む機会が遅れるということになるし、その分働けなくなるので、百万単位で逸失利益が出ることも見過ごせない。昔と違って働きながら受験する人が減っている以上、尚更である。

九州大学法科大学院の当局は、まずは学生の意識調査を実施した上で、とりあえず、徒然草とゴールデンカムイを読ませることから始めるべきだろう。

【絶対的権力は絶対に腐敗する】ジャニーズ調査報告書を読んだ感想【圧倒的独裁者】 https://youtu.be/vO2WJwqkOCU

※ダイジェスト版 【絶対的権力は絶対に腐敗する】ジャニーズ調査報告書を読んだ感想【圧倒的独裁者】 https://youtu.be/wA52q3FW8dU

 

事務所ホームページ

刑事事件特設サイト https://mfuklocriminaldiffence.com/

医療事件特設サイト https://mfuklomedical.com/

 

離婚事件特設サイト https://mfuklorikon.com/

Twitter https://twitter.com/mizuno_ryo_law

Instagram https://www.instagram.com/mizuno_ryo_…

お問い合わせフォーム

医療 http://u0u0.net/YcJ9

刑事 http://u0u0.net/TIMP

交通事故 http://u0u0.net/WaqQ

離婚 http://u0u0.net/wtgL

債務整理 http://u0u0.net/RZH3

その他 http://u0u0.net/UNfR

LINE登録無料 https://page.line.me/mizunofukuoka

 

 

その他のコラム

上訴権放棄・上訴の取下げ

日本は三審制を採っているので、第一審、第二審判決に対しては不服の申立ができ、第一審判決に対する不服の申立を控訴、第二審判決に対する不服の申立を上告と呼んでいる。控訴と上告を合わせて「上訴」と呼んでいる。 第一審判決が実刑判決であったものの、控訴しても勝算が薄い場合には、上訴権を放棄してしまうことがしばしば行われる。通常であれば、判決から2週間は上訴期間であるため、判決は確定しない。上訴権を放棄すると、その分、判決の確定が早ま...

立川ホテル殺人事件 少年の実名報道を繰り返す週刊新潮に抗議する

繰り返される暴挙 東京都立川市にあるラブホテルの一室で、デリヘル嬢が19歳の少年に刺殺され、男性従業員が重傷を負うという事件が発生した。この事件については、当事務所のコラムでも取り扱った。 さて、この事件に関して、週刊新潮6月17日号は、「凶悪の来歴」「70カ所メッタ刺し!立川風俗嬢殺害少年の「闇に埋もれる素顔」」などと題して、少年の実名と顔写真を大々的に掲載した。 週刊新潮が、少年事件において、少年法61条を無視して少...

郵便局の前時代的なしくじり 郵便料金を値上げする前に制服を廃止せよ!

郵便料金の大幅な値上げが発表された。 令和3年10月には、普通郵便の翌日配達が廃止されたことで、サービスの切り下げが行われたから、この変化は立て続けである。 そのような中、以下のような報道が飛び込んできた。   「制服への着替えは労働時間」、日本郵便に320万円の支払い命じる判決…神戸地裁   出勤・退勤時に制服に着替える時間の賃金が支払われていないのは不当だとして、兵庫県内や大阪府内の郵...

共犯者同士の弁護人 「真に恐るべきは、有能な敵ではなく、無能な味方である」

「真に恐るべきは、有能な敵ではなく、無能な味方である」とはナポレオンの格言とされる。味方にこそ要注意ということだ。 これは刑事事件においても変わらない。 例えば、ある事件について共犯者AとBが起訴されているとする。AとBが同じ弁護士に依頼してきた場合、(1)依頼を受けてもよいか、(2)依頼を受けるべきかというテーマがある。 (1)については、「一律に禁止されていない」というのが一応の回答である。このため、特に...

続報 福岡で持続化給付金詐欺の摘発相次ぐ

先日よりお伝えしている持続化給付金詐欺について、当地、福岡で、逮捕者が続出している。3の報道記事を紹介する。なお、逮捕段階であることを考慮し、個人名については*にて置き換えた。   1月9日 西日本新聞 持続化給付金詐取の疑い 男2人逮捕 福岡県警 福岡県警は8日、新型コロナウイルス対策の国の持続化給付金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで、自営業*(23)=住所不定、建設作業員*(32)=北九州市...

刑事事件はスピードが命!
365日24時間即時対応

24時間即時無料相談対応 092-519-9897 弁護士が直接対応 六本松駅から好アクセス

メールでのお問い合わせはこちら