続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ13 大型事件の傾向未だ見えず |福岡の刑事事件相談、水野FUKUOKA法律事務所

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続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ13 大型事件の傾向未だ見えず

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はじめに

持続化給付金の不正受給について、一般の方や、全国で同種事案の弁護人をされる先生方の参考になるよう、持続化給付金の判決について、情報収集を行い、分析を続けている。前回の記事から、さらにいくつかの判決に関する情報を入手した。
これまでの過去記事は以下をご覧いただきたい。
続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ12 新たな展開
続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ11 重い量刑が続く
続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ10 実刑と執行猶予の狭間で
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続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ2 20210616
【速報】 持続化給付金詐欺 の判決まとめ 20210429
前回から約1箇月を経過し、新たな事案が集積されてきたため、さらに分析を行いたい。
報道発表から読み取れる範囲で一覧表を作成しており、役割や被害弁償、分け前などについては一部、推測に渡るものも含まれている。また、本稿掲載時点で検察官による求刑まで行われ、判決言渡未了のものについても参考のために掲載した。
ちなみに、これらの判決の中で、当職が弁護人として関与しているものは存在しない。

最新の一覧表はこちら

判決内容

前回から8件(判決7件)増加し、執行猶予付判決が3件、実刑判決は5件となった。8件のうち、3件が高裁所在地の地方裁判所、4件がそれ以外の地方裁判所本庁、1件が支部の事件である。

判決の分析

判決82は、2件の不正受給について執行猶予付判決が選択された事例である。共犯者間の役割分担については詳細不明であるものの、若年で前科前歴がないことからすると、執行猶予を付したこと自体は妥当であろう。ただ、件数に比較して、懲役2年6月執行猶予4年というのはやや思い印象を受ける。検察官の求刑に引っ張られた結果ではないかと思われる。

判決83は、これまでに紹介してきた事例で最も件数が多い、62件の事案である。起訴されていない事案を含めると、100件以上になるのではないかと言われている、組織的な不正受給の事案である。判決結果も、懲役8年6月と、やはりこれまでに紹介してきた中で最も重い量刑となっている。件数と、首謀者であると認定されていることを踏まえると、重い量刑となること自体はやむを得ないと思われるところ、後述の判決87との比較を踏まえると、どの程度適正なものなのかはなんともいえないところがある。

判決84も、21件と多数の案件であり、懲役3年6月が言い渡されている。被告人は22歳の国家公務員(国立印刷局勤務)であったことから、大々的に報道されている。判決では、勧誘役とされているものの、300万円以上の報酬を受け取ったとされており、どちらかというと首謀者に近い量刑となっていることが特徴的である。

判決85は、4件の事案で、執行猶予付判決が選択されている。被告人は申請名義人や勧誘役とされており、共犯者間の役割としては軽い部類に属すると考えられる。これまでの傾向に照らしても概ね妥当なラインであり、やはり判決82が、やや重い印象を受ける。

判決86は、かなり大がかりな不正受給の事案であり、中心的存在とされた被告人については、3件と件数が少ないものの、実刑判決が選択されている。被告人が故意を否認して争っていたため、証拠上手堅いものに絞って起訴されたのではないかと思われるところである。こちらも、国会議員事務所職員であったために、大々的に報道された事案である。

判決87も大がかりな不正受給であり、全部で61件が認定されている。判決では、「執行猶予の余地はない」とまでに断罪されたものの、懲役9年の求刑に対して懲役5年6月が言い渡されており、判決83と比較すると、求刑、判決共に軽くなっているのが特徴的である。

判決88は情報提供をいただいた事例である。700万円が被害額であるものの、この中には持続化給付金ではなく、家賃支援給付金も含まれている。ただ、家賃支援給付金も、持続化給付金同様に極めて簡易な審査で給付を行う性質のため、本稿では持続化給付金と同様に取り扱うこととした。全額返還見込みであることや、役割分担を踏まえると、執行猶予付判決とした結論自体は妥当と思われるものの、5件を超えている事例で、懲役2年6月執行猶予4年というのはやや軽い印象を受ける。

判決89は、15件の事案であり、被告人は、首謀者である共犯者と役割分担のうえ、申請名義人を募ったり、申請の仕方を指南したりするなどしたものと認定されており、首謀者に準ずる地位にあるとされている。弁護人は、被告人が約800万円を自ら調達し資力のない共犯者に代わって被告人が返金の原資を調達した旨主張して執行猶予付判決を求めたものの、判決ではそこまで重視されていないように思われる。この種の事案で、自らが受け取った手数料相当額を超えて、資力のない共犯者に代わって返金の原資を負担することが、量刑上どの程度の意義を有するのか、なんとも疑問である。

いわゆる大型事件

本稿では、被害金額が1000万円以上の事案を「大型事件」と呼ぶことにする。
現在までで、大型事件の裁判例は19件あり、14件で実刑判決、5件で執行猶予付判決が選択されている。執行猶予付判決となったものについては、詳細不明のため理由が不明であるもの1件、自首が成立することを理由とするもの1件、役割分担が相対的に軽微であることを理由とするもの3件であり、特に役割分担が首謀者又はそれに準ずるものでないことを説得的に主張・立証することが重要であると思われる。
一方、首謀者又はそれに準ずる役割とされた場合は、ほぼ例外なく実刑判決が選択されているものの、実刑判決となった事例を見ても、具体的な量刑は、もっとも重いもので懲役8年6月から、最も軽いもので懲役2年2月と相応に開きがある。
概ね、1000万-2000万円の事案では、懲役2年から3年6月程度、2000万円-3000万円の事案では、懲役3年6月から懲役4年6月程度という傾向が見られるものの、必ずしもこれにそぐわない事例もある。また、今回の判決83と判決87のように、被害額がほぼ同額で、いずれも首謀者的地位であるとされているにもかかわらず、一方は懲役8年6月、もう一方は懲役5年6月と、量刑がかなり異なっていることもあり、大型事件、特に3000万円を超える事件については、今後の事例の集積が待たれるところである。

年齢・職業

20代が46人、30代が22人、40代が11人、50代が4人、60代が1人、70代が1人であり、平均は31.55歳と、依然として若年者が圧倒的に多く、平均年齢も低い傾向にある。

今後の見通し

首謀者的地位にある者に関する判決が続いているものの、これらは持続化給付金不正受給で摘発された事案の中では、初期に捜査が行われたものの部類に属する。ここに来て、第二波、第三波の捜査が行われるようになってきているため、そろそろ、これらの事案にかかる末端の者(2-3件程度の事案)の事例が、また増えてくるのではないかと思われる。
今後は、事件発生から長期間が経過していることもあり、逮捕・勾留することなく在宅で捜査が行われ、在宅のまま起訴される事案も増えることが予想される。こうした事件については、被疑者段階で弁護人が選任されていないことが多く、被告人本人が忘れた頃に起訴されるといった事態も想定しうるだけでなく、在宅で起訴されたからといって、執行猶予の可能性が高いというわけでは必ずしもないことを踏まえると、遅くとも、起訴されることが予想された時点で、早期に弁護士に相談の上、対応を検討する必要があるということになろう。
また、首謀者的地位にある者について、被告人が自ら利得した手数料相当額を超えて、資力のない共犯者に代わって返金を行った事実が、量刑上どの程度反映されているのか、というのは非常に重要な問題である。これまでの裁判例を見る限り、裁判所は余り重視していないのではないかという疑いを持っている。そもそも、全額返還の事実も必ずしも量刑上明確に反映されているとは言い難い上、親族に相談するなどして自ら返済原資を調達することに努力した申請名義人と、共犯者に負担してもらった申請名義人の公平性を考えると、共犯者に代わって返金を行うことの当否については慎重になるべきであろう。ただ、このような問題が生じる背景には、申請名義人からの一括弁済しか受け付けないという国の硬直的な態度があることは指摘されなければならない。国が、申請名義人以外の者からの一部弁済を広く受け付けるようになれば、より柔軟な返金が可能になって最終的な回収額は増えるはずであるし、刑事事件における量刑立証の選択肢も広がるはずである。国の姿勢は、誠に理解に苦しむと言わざるを得ない。

まとめ

前回も記載したとおり、持続化給付金不正受給は、初犯でも実刑の可能性がありうる事件類型である。
また、他の犯罪類型と比較すると、相応の学歴や社会的地位があり、家族や安定した勤務先を有する者がこの犯罪に手を染めていることも珍しくない。こういう場合、突如として逮捕・勾留され、長期間にわたって接見禁止となることにより、家族や仕事に与える影響は甚大であり、被疑者段階あるいは起訴後の保釈段階の弁護活動も重要になってくる。これらについては機動力が求められ、弁護士によって対応が異なってくるため、依頼する弁護士は慎重に選んだ方がよい。安易に、全国展開しているとか弁護士の人数が多いとか元検事の弁護士がいると言うだけで決めるというのは、あまりおすすめしない。
現在でも、持続化給付金詐欺の逮捕報道は連日行われている。また、量刑に際しての考慮要素については、事案の集積により分析が進んで来つつあるものの、総じて量刑は重くなる傾向にあるようである。このため、特に実刑と執行猶予の境界にある事案では、量刑に関する的確な主張・立証を行うため、早期に弁護士に相談の上、今後の対応を検討する必要がある。
また、実刑判決が見込まれる場合には、控訴するかどうか、再保釈の請求をするかどうかなど、一審の段階から十分に検討しておくことが肝要である。

ご依頼を検討中の方に~当事務所の方針

最後に、最近、問い合わせを受けることが多くなっているので、持続化給付金の不正受給に関する依頼を検討されている方に、当事務所の基本的な方針をお伝えしておきます。

被疑者段階

被疑者段階での依頼については、警察署等への接見が必要となってくるため、ある程度の地理的制約があります。このため、あまりに遠方の事件についてはお断りすることもあります。但し、現地に知り合いの弁護士がいる場合には、共同で受任して、接見は専ら現地の先生にお願いするという形で受任することは可能ですので、まずはお問い合わせいただければと思います。
当職が受任した場合、遠方に接見に行く場合には、交通費実費と日当をいただきます。日当については、距離や所要時間などによって異なってくるので、詳細は個別にお問い合わせください。
なお、正式に依頼するかどうかは未定であるものの、とりあえず一度接見に行った上で、今後の弁護方針に関するセカンドオピニオンを提供するということも可能です。こちらについては、日程が合う限りにおいて、全国対応が可能です。実際、令和3年度も、遠方での接見やセカンドオピニオンのご相談を複数、受任しています。弁護士費用及び日当、交通費については、個別にお問い合わせください。

被告人段階 第一審

起訴後からでも、勿論ご依頼は可能です。この場合、被疑者段階よりは接見頻度も少ないことが想定されるため、被疑者段階よりは、遠方のご依頼でもご負担は少ないと思います。保釈により釈放された場合には、テレビ電話等での打ち合わせも可能です。弁護士費用については、件数や認否、事案の複雑さによって変わってきますので、個別にご相談下さい。
被疑者段階同様、セカンドオピニオンのご依頼も歓迎です。

被告人段階 控訴審 上告審

控訴審、上告審のご依頼も可能です。
まず、第一審の判決謄本等を検討した上で、控訴に関する見通しについて意見を述べるという形でご依頼いただくことが可能です。
控訴審は、通常の事案であれば、弁論を1回開いて結審し、第2回で判決言渡しになることが多いため、遠方の事案でも、期日のために出廷する回数は2回となることが多いです。ただ、接見や保釈請求等の関係で出張が必要となることもあります。
第一審判決が実刑であった場合、保釈中でもそのまま拘置所に収監されることが多く、この場合は、控訴審での再度の保釈請求を行う必要があります。控訴審の保釈は、一審に比較して要件が厳格であり、また保釈金額も一審よりも高額に設定されることが多いと言えます。このため、保釈の必要性について詳細な事情をお伺いした上で、速やかに証拠をそろえて保釈請求を行う必要が出てきます。

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