持続化給付金不正受給で緊急の人材募集が行われていたことが発覚 |福岡の刑事事件相談、水野FUKUOKA法律事務所

福岡の刑事事件に強い弁護士

初回相談無料 092-519-9897 24時間、即時無料相談対応
メールでのお問い合わせはこちら

持続化給付金不正受給で緊急の人材募集が行われていたことが発覚

持続化給付金の不正受給(詐欺)について

関わってしまった場合には、すぐに相談を! 持続化給付金100万円「詐欺」福岡で初の逮捕

続報 福岡で持続化給付金詐欺の摘発相次ぐ

 

既にこれらの記事において、持続化給付金の不正受給についてお伝えしてきた通りである。持続化給付金不正受給は、国に対する100万円の詐欺という重大な犯罪であり、組織的な関与が疑われる事案も少なくないことから、逮捕・勾留されるリスクは少なくない。もっとも、現状では、警察のマンパワーの問題もあり、首謀者や勧誘役など組織の中枢にいる人物はともかく、末端の不正受給者については、安定した勤務先があるとか、親族が身元引受書を提出するなどしている場合には、在宅のまま捜査が行われていることも多いというのが実感である。

さて、筆者は、たまたま見ていた中小企業庁のホームページで、興味深い求人を見かけた。以下をご覧いただきたい。

 

中小企業庁長官官房総務課

 

この募集要項を見ると、業務内容は、

 

1 詐欺罪(刑法第246条)等が成立するものと思料される持続化給付金の不正受給が疑われる事案について、警察等に対し国としての被害意思を通知するための行政文書の作成及びそれに関連する警察等との調整業務

2 刑事訴訟法第197条第2項に基づく捜査照会等の公的機関からの照会に関する文書の整理及び照会に対する回答の作成に関連する調整業務

3 持続化給付金規程第10条に基づく不正受給に関連する行政文書の作成・管理の補助業務

 

とされている。

1の業務は、わかりやすくいうと被害届の提出である。持続化給付金不正受給は、国を被害者とする詐欺事件であるので、国が被害届を提出する必要がある。理論的には、詐欺罪は親告罪ではないので、告訴がなくても起訴できるのであるが、そこはお役所仕事で、国相手でも被害申告の意思を確認してから、ということになるわけである。

2の業務は、平たくいうと、警察から質問が来たときに、回答する業務である。正式な文書で回答しないといけないので、役所は面倒な決裁を経ないといけないわけである。

3の業務は、他機関に対する通知などで、これは1や2に比べると付随的なものであると思われる。

こうした業務を担当するフルタイムの職員を、中小企業庁は2名募集しているわけである。また、法律事務所や行政書士事務所での事務経験の有無を採用にあたっては重視している。

 

つまり、わかりやすくいうと、被害届を作ったり、警察の問い合わせに答える人材を、わざわざ2名もフルタイムで募集しているわけである。これだけでも、どれだけ人が足りていないかがよく分かる話である。しかも給与は日額約1万2千円であり、東大病院の研修医と同じくらいの待遇である。

 

だが、よくよく考えたらおかしな話である。新型コロナウィルスで困窮する事業者を救済するための給付金として、国民の血税をつぎ込んでいるにもかかわらず、ザルというほかない審査のせいで組織的な不正受給を許し、それだけで税金を無駄づかいしているわけである。今度は、不正受給者を告発するためのマンパワーが足りないということで、また税金を使って人を雇おうとしているわけである。本来の目的以外にどれだけ税金を無為に垂れ流していることか。

これまで散々述べてきたように、持続化給付金不正受給は、国民の税金をつぎ込んでいるにもかかわらず、反社会的勢力の資金源を提供する結果になり、また多くの若者を犯罪に巻き込んでしまった。その処罰のために税金をさらに浪費するなど、恥の上塗りというほかない。政府は、「救済を優先するためだった、性善説で回していた」などと弁解している。しかし、金が絡む案件に性善説などあろうはずがない。このことについて、官僚も政治家も責任を取らないことは、腹立たしいという思いしかない。

その他のコラム

最決令和7年2月26日令6(行フ)1号 タクシー運賃の法規制の在り方

事案の概要 特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法は、タクシーの供給過剰に対処するため、国土交通大臣が「特定地域」「準特定地域」を指定し、道路運送法所定のタクシー運賃にかかる規制の特例を認めるものである。 Xはタクシー事業者であるところ、特措法により令和4年10月11日に国土交通大臣が料金の引き上げを行った(適用は同年11月14日)のに対し、引き上げ後の下限を下...

続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ14 100件突破 持続化給付金判例百選なるか

はじめに 持続化給付金の不正受給について、一般の方や、全国で同種事案の弁護人をされる先生方の参考になるよう、持続化給付金の判決について、情報収集を行い、分析を続けている。前回の記事から、さらにいくつかの判決に関する情報を入手した。 これまでの過去記事は以下をご覧いただきたい。 続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ13 大型事件の傾向未だ見えず 続報 持続化給付金詐欺 の判決まとめ12 新たな展開 続報 持...

4年前の広島地検検察官自殺 公務災害に認定

以前(2021年12月1日) に 広島地検検察官公務災害に思うこと という記事で紹介した、広島地検公判部所属の29歳男性検察官が自殺した事件について、公務災害が認定されたという報道がなされた。 4年前の広島地検の検察官自殺 法務省が「公務災害」認定 4年前、広島地方検察庁の男性検察官が自殺し、遺族が「公務災害」の認定を求めていた問題で、法務省が時間外勤務の状況などをもとに「公務災害」に認定したと、遺族の...

司法試験への心構え この一矢に定むべし 徒然草とゴールデンカムイに学ぼう

1 旧帝大の驚くべき司法試験合格率 私は、九州大学法科大学院で「精神医療と法」という講義を担当しており、ロースクールの学生と交流する機会がある。 そこで驚いたのは、九州大学法科大学院は、司法試験の合格率が全国平均を下回っているということであった。 気になって調べてみると、京都大学、一橋大学、慶應義塾大学は合格率が60%を超えており、全体の合格率は40%程度であるのに対し、九州大学法科大学院は23.4%に留まってい...

リコール署名偽造問題

今朝、このようなニュースが飛び込んできた。 署名偽造容疑、事務局長ら逮捕 知事リコール―指紋鑑定で断定・愛知県警 愛知県の大村秀章知事の解職請求(リコール)運動をめぐる不正署名事件で、県警捜査2課は19日、地方自治法違反(署名偽造)容疑で、リコール団体事務局長の元県議、X容疑者(59)=同県稲沢市=ら4人を逮捕した。同課は4人の認否を明らかにしていない。 逮捕容疑は昨年10月下旬ごろ、愛知県知事の...

刑事事件はスピードが命!
365日24時間即時対応

24時間即時無料相談対応 092-519-9897 弁護士が直接対応 六本松駅から好アクセス

メールでのお問い合わせはこちら